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:ぶち切れ 「…っの…」 ふるふると身体を震わせながら、小さな言葉が呟かれる。なんだ、と聞き返そうとした瞬間。 がばりと顔を起したかと思えば、ぶわりとスカートが舞って―― その合間から忽然と、ナイフが現れる。 「もういっぺん生死の境彷徨って来いッ!!!」 掌に集まったナイフが、周囲へ四散する。 かかかんと、壁や天井にぶつかる音がそちらこちらで響いた。 「おっま、俺をコロス気か!」 「だからもういっぺん狭間さまよってこいっつってんだろッ」 「二度と御免だ! つうかオイこっちは老体だぞ考えろっ」 辛うじて飛んでくるナイフを避けた彼が叫べば、彼女も叫んでまたひとつナイフを投げる。彼もまた短剣でそれをすかんと弾けばまたひとつ。またひとつ。 「逃げるな! 避けるな!」 「俺は的かっ。怪我すりゃ他がうるせーんだよっ」 流石と言うべきか…彼女のナイフを全て避けて逃げていく様は感嘆に値する。自分でもひとつやふたつはあたるだろうなあ、とぼんやり現実逃避していると、ふと隣に気配を感じてちらと視線をやる。隣に居た男は、僅かに笑うだけ。 「…止めて欲しかったな」 「無理無理、昔だって二人のコミュニケーションにはある程度まで手を出さないのが暗黙の了解だっただろう」 「……」 「相変わらずなんだなあ、本当に」 苦笑交じりに…しかし楽しそうに笑う姿に、ため息が漏れる。確かに昔から、二人はあんな調子ではあったが… 「僕も彼女も、いい大人なんだけどなあ…」 彼も壮年といえる年なのにと呟けば、くすと隣が笑って。 「でも、変わらないものもある」 不意に見上げれば、交わる視線。碧眼の瞳がゆるりと細められ、つられて自分も笑みが浮かんだ。 ――どごん、と壮大な音が響いたのは直後の事で。 目を丸くして、二人は通路の奥を見た。二人の罵声がここからでも良く聞えてくる。 「…そろそろやばい?」 「かな。館壊されるのは勘弁したいし」 軽く笑って、それから溜息。長い息を吐いた後同時にかくりと肩を落とした。 (解放後。絵板でまともに本編後のクロスキャラを描くのははじめてだったかも…) |
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:四人 |
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:舞う |
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:赤に染まった夢から逃げた先に見えて、縋った 「…おい?」 「セルジュか?」 共に居たイシトが眉を寄せてカーシュの背にいる者を見下ろした。背を押され、しがみつかれて身動きが取れないカーシュは、しがみ付いてくる者の身体から熱が伝わってくるのに顔を歪めた。 「小僧、お前まだ熱が下がってないのに何起きてるんだ。さっさと寝て少しでも…」 いつもの様に窘める言葉を紡ぐも、それは途中で途切れた。触れた腕が震えているのが判ったのだ。 「…セルジュ、どうした?」 二人の様子を見守っていたイシトもまた少年の様子に気付いたらしい、気遣う様に声をかけるのに、セルジュはうめく様に応える。 「ごめ、…」 「…気にするんじゃねえ、何があった」 身体を向き合わせて俯く頭をかき回す様に撫でる。漸く落ち着いてきたかゆるりと息を吐いて、セルジュはぽつりと呟いた。 「…御免、混乱しただけなんだ。夢を、見て」 「夢?」 是と頷いて、熱の篭った息を吐く。だるそうに身体を起す仕草は、まだ身体の体温が高い事を窺わせた。そういえばと、カーシュは思い出して口を挟んだ。 「今は小娘がお前の所にいたはずだが?」 「…起きた時は誰もいなかったけれど」 「……あいつはまたっ」 「用事で呼ばれたのかもしれないだろう、そういきり立つな。 セルジュ、とりあえず部屋に行こう。まだ熱が高そうだし、部屋でも話は聞ける」 イシトの言葉に漸く今の状況を気付いたのか、セルジュは顔を上げて辺りを見回した。館の廊下の真ん中に佇んでいた事を知ったセルジュは熱で赤く帯びていた頬を更に赤くさせて一歩後退する。 「あ、ご、ごめん。大丈夫、本当に吃驚しただけで」 「お前の大丈夫は信用ならねえんだって何度言ったら判るんだ」 「いや、本当に」 「セルジュ」 慌てて帰ろうとしてよろけた身体を支えて、イシトは苦笑を浮かべながら言った。 「良いから。どうせキッドが戻ってくるまで、誰かいなくてはならないだろう。 それにそんな状態の君を一人で戻らせたなんて知ったら、私は明日彼女に会えない」 「…」 言いすぎだと思われるイシトの発言は、しかし言い過ぎではなかった。言い返せないセルジュはただ苦笑いを浮かべて、ごめんと返すだけに留まった。 |
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:あお |
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:白と黒であり黒と白でもある存在 「良い顔だ」 嘲笑を浮かべて、顎を掴んで上向かせた。見たこともない怒りを抱えて自分と同じ瞳が睨みつけてきて、何故だかとてもそれが楽しい。額から流れる血すら美しいと感じた。 「箱庭で膝を抱えて生きていた時より格段に良い。 人へ向ける思いが、とても強い」 「…黙れ」 「それは私に対してか、あの娘に対してか、」 く、と喉の奥で笑い、 「…あの娘に何かをしでかしたかもしれない私に対してか?」 「黙れッ!」 ばつり、と弾けるような力が溢れて身を引いた。己が編み出した闇の力で縛られていた彼の身体は、彼が編み出した光の力で包まれている。 おなじからだ、おなじ存在。なのに扱う力の属性さえもう違う。 嗚呼、本当に、人間というものは。 いとおしくてたまらない。向けられるのが憎しみである事さえいとおしすぎて。 こわしたく、なるのだ。 (せるじさんの顔失敗した…でも出す) |
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:戦場を駆ける |
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:親子 こどもたち。のふたり。住み分けようと思ってたのにすっかり忘れて他のをこちらのログにのせてしまったので開き直りました(お前…) |