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:暗火 常に身の傍にあり 焔のようにその指先が彼の身体に触れることもあった けれどあなたはその暗闇に触れようとも 身体をその中へ潜らせることはしなかった それは私がもてなかった強さなのだと言う私の言葉は 貴方に伝わっているだろうか |
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:掠める 震える少年の身体を支えながら思いが過ぎる 命を奪うことに恐怖を感じるこの少年を 迷いなく他者の命を奪うこの手が彼を支えている事を (案外わたしのカーシュはネガティブなんだけど、表にほとんど出さないのでセルジュとかグレンとか、近しい人以外滅多に知らない。 そんな考え方を踏み潰して先に進む人間。でも迷う気持は知っているので、キッドの様に迷うセルジュを頭ごなしに一喝できないひと。苦しみながらそれでも歩き続けている辛さを知っているから、どうしても放って置けない人。 「宵」とかはそんな一部が出てきておりますよね…) |
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:アレンジが出るらしいという話 |
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:別れ 神等いない、信じもしない。 けれどそんなものが彼を幸いにしてくれるならば 扉の前で足を止める。取っ手に手を置いて、じっと佇む。微かにドアノブが音を立てていた、…震えて、いた。 それは明日の事に関してなのか、それとも、 この扉を潜ったら、其処を境界線として分かたれてしまう事を、感じているのか。 「…」 静かに、呼ぶ。ぎこちなく顔を上げた、……泣きそうな顔。 不細工な顔をしていると苦笑い、呼んだ。微かに手を広げると、くしゃりと顔を歪めて飛び込んで来る。 「カーシュ…っ」 隠す事もしない涙声、語尾が震え、次第にしゃくりあげて来る。 随分と溜めていた様子に溜息をつく。片手で髪を撫でながら背を叩きあやす。何時の間にか慣れていたこの行為ももしかしたら最期なのかも知れないと思うと不安を感じるが、もう後戻りは出来ない。 彼も判っていた、だからいままで、言葉にも態度にも出せなかったのだろう。 ずっと抱えていたのだろう、自分と離ればなれになってしまう恐怖を、 ………彼女と、離れてしまう恐れを。 「ごめ…っ」 「あやまんな」 抑えられなくなった嗚咽混じりに謝って来るのはいつもの事だ、宥めてやると、首に回された腕に力が篭る。 「、…っ。ありが、とう。 ありがとう、カーシュ…っ。」 「…ああ」 「カーシュに会えて、良かった…ほんとうに、本当に…っ」 必死に抱き着いて来る、その身体を、彼はただ抱き締め返した。 それは自分だと、心で呟いて、有難うと心でかえす。 自分の中に変化をもたらした少年。優しく、人を傷つけるのが苦手で、随分と弱い所が多く、……それでいて強い少年。 明日彼がクロノクロスを放ち、全てを終らせればどうなってしまうのか判らないが…予測の一つにあるのは繋がっている二つの世界が別れ、干渉のしない世界に戻るというもの。それはつまり、生きている世界が違う自分達と別れてしまう事だった。 不安はある。持ち直したとは言え、一時期は酷い状況に陥っていた。拠り所である自分と彼女が彼から離れ、彼は一人で立つ事ができるのだろうか。けれどもう時は進み、後戻りは出来ず。ただ、願うしかない。 神は信じない、居もしない…寧ろいなくていいものだと思う。 けれど、そんなものでも彼を幸いにしてくれるのならば。 カーシュは思う。 そうならば、セルジュの為に、祈ってやってもいいかもしれないと。 |
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:優しさと弱さの境界線 極端に人を傷つけるのを恐れてとにかく穏やかで、優しく。誰にも心配をかけぬ様に生きて来たのが私のなかのセルジュ。 一見それは優しさに見えるけれど、一方から見ると弱さにも見える。優しさだと思ったのがグレン、弱さだと思ったのがキッド。両方を持っていると見たのが、カーシュ。 その人を知っているから、その心を欠片でも知っているから、どうすれば彼を護れるのだろうかと思ったのが、私の書いた話なのかもしれないです。 グレンにしてもカーシュにしてもキッドにしても、護りたかったのか…… なんて書いた板。 |
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:たまに描きたくなる星の子暴走(笑 |
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:この肉の塊を取り戻しても まだあなたがいない あなたに会いたい あなたの声が 聞きたい わたしをわたしとしてくれる、その声を |
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:迷 |
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:背中合わせ と、と背に身体がぶつかる。見れば彼女の身体がすぐ後ろにあって、余裕のある笑みをこちらに向けていた。 「怖じ気付いてねーか?」 からかい口調で聞いて来る。 「怖じ気付いてた方がいい?」 「……可愛くなくなったなーお前」 それすらも楽しそうに紡ぐキッドに、セルジュは笑った。 「キッドがいるし、カーシュもいるし。…なんとかなるんじゃないかな、これなら」 「は、自信満々だな」 「二人とも強いし」 その言葉に、キッドは眼を瞬かせた。呆れた溜息を吐いて肩を竦める。 「全く…信頼されてると言うか、自分卑下しすぎというか」 「僕はどちらかというと回復専門だし」 「………まあこの中ではお前が一番エレメント扱い上手いけどよ」 「無駄話は其処で止めておけ、来るぞ」 カーシュの声が言葉を止める、舌打ちをしながらキッドは前を向きつつ悪態をつく。 「ぜってー後でしばく」 「やれるもんならやってみろよ小娘」 「……」 「二人とも…」 宥めながら苦笑いを浮かべ、そのまま前を向いた。笑みを面持ちに残したまま、グランドリームを構える。眼前に群がるモンスターを捉えて、それでも心は揺るがぬまま。 空気が変わる、一瞬の内に、其処は戦いの場へと変化する。 大丈夫。 そう思う。自分の背には、何よりも信頼出来る人達がいる。決して負ける事はないと思わせるものが、そう思う心がある。 だから、自分は立てる。目の前の脅威に、立ち向かえる。 ごう、と唸り声を上げてモンスターが動き出すのに連れて次々と向って来る。セルジュはグリッドを立ち上げ、ひとつの光を弾いた。地から光が天へ上り、集まっていく。 近付いて来るモンスターを睨みながら、二人は動かない。どの様なエレメントを施行するのか言わずとも二人は気付いてくれる。 セルジュは光を力に変えた。 天から光が、迸った。 |
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:うけいれてくれたひと だいじょうぶとこころで呟く まだ自分は立ち上がれると あなたがくれた暖かさがある限り。 |