人物のイメージを固めるためにとりあえず書いてみた。
なんとなく指輪に出てくるひとたちをキャラと呼べない今日この頃です。
二十歳なボロミアと十五のファラミア。むかしの話。
…あれ?
*
ばん、と彼は重厚な扉を片手で押し開けた。暮れかけた暗雲の中、石畳を音を鳴らしながら進んでいく。片手に困惑した少年を引き摺りながら。
少年は己を引き連れる男を見上げた。伸ばしたままの木蘭の髪は纏める事なく風に晒し、端整な面持ちを歪めながら灰緑の瞳はただ前を向いて歩き続けている。その行く先に厩が見え、彼は足早とその中へ潜り込んだ。人影に顔を上げる馬が一頭、その傍により、鞍をつけ、手綱を引いて出る。その素早さは、少年に言葉を紡ぐ暇を与えなかった程だった。
男が馬に跨がり、少年を無理矢理引き上げて後ろに乗せた。そしてそのまま馬の腹を蹴る。
白い石畳の上を馬が走り出した。狭く複雑な路地を渡れば帰途の道を辿る民達が眼を見開いて後退る。そして馬上の二人を見て更に眼をまるくして呆然と見送った。
道は徐々に下がっていく、山々を見渡せる視界から、見上げる視界へ。とうとう広原の境である大門に辿り着いた時、門は閉じられる寸前だった。
「退け!」
声を張り上げて男が命令すれば、門に集った兵達が眼を剥く。その合間をすり抜けて、二人は広原へと躍り出た。馬の鼻先を北へ向けて、一目散に走り去ったのだった。
彼の後ろに乗るのは何時振りだろうと思いながら、少年は過ぎ行く風景を見ていた。暗雲は徐々に晴れ、夕暮れの日射しが広原に広がり落ちていくのを見つめながら、背後を向いた。
これまでの人生で殆ど離れた事のなかった故郷――守護の塔、ミナス・ティリスは既に姿を消して久しい。
そしてこんなに澄み渡る青空を見るのは何時振りか。彼は不思議な気分だった。
そう思いながら、少年は姿勢を前へ戻した。彼が腕を回す身体の主は、まだ前を向いたままだった。
「兄上」
風の切る音の中、前の人に伝わる様、少年は彼を呼んだ。
「ボロミア、どうしたのです? 何がありました」
前の男…兄からの応えはない。暫し思案して、少年は更に口を開く。
「父上とまた諍われましたね?」
ひくりと、彼の肩が跳ねた。徐々に馬の駆ける速度が弱まり、遂には広原の真ん中で佇むことになった。彼の兄、ボロミアは長い事沈黙したままだったが、不意に大きな溜息をつく。その仕草に言い様のない疲れを感じ取って、少年は彼の肩を宥める様に摩った。
「…済まぬ、ファラミア」
「兄上が謝られる様な事は何もありますまい」
「だが…ああ」
溜息がまた漏れる。空を仰いで、ボロミアは苦渋混じりに呟いた。
「またやってしまった…」
彼の父、そして少年…ファラミアの父とは、少しばかり複雑な関係になっていた。ボロミアとの間には問題はない、あるのは、後悔で言葉を失っている兄を気遣わし気に見ているファラミアの方だった。
しばし無言のまま空を仰いでいたボロミアは、やがて息を落として顔を俯かせた。ゆるりと首を振り、手綱を持ち直す。
「…直にお前は戦列に加わる。そうすれば二人で顔を合わせる事も侭ならなくなるだろう。今回だけは好きにさせてもらう事にしよう」
「何処へ? 兄上」
「遠くはない。一度位はお前を連れて行きたかった所だ」
*
メイン会話までたどり着いてないorz
うちの兄上は時々お父さんと喧嘩してたようです。
というか、うちのボロミアはファラミアにえらい甘いイメージになっちゃってる…兄弟というより母代わりなんです、保護者っていうイメージが。
ファラミアはまだちゃんとは固まってません。原作基準にしたいんだけど、まだ読めてない…
ボロミーは映画基準です。