シーア
: 振り向き様












差し込む光
: 天窓












てっよーん
: 御戯れ
「わーーーっ。ちょ、ストップ、勘弁!」
「え、やだ、聞く耳なし」
「嘘、冗談! ちっ近い近い近いッ。腰に手を回すなっ」
「近いの当たり前。腰は回しやすいだけ。あーそんな暴れるなって」
「当たり前だっ」
「そんなに抵抗するなら剥くぞ」
「冗談でも言うな!」(真っ青)
「じゃあ、マジに」
「なるなーーーーーーっ」

(1前。初心に返ってみた(…初心?))












のろわれどうしこうげき?
: れんけい
「ほら、五行とかだと連携できる技ってあっただろ」
「うん。あったね」
「あれでさー俺たちので出来たらすごいんだろーなー」
「…………これで?」
「そう」
「…それはどちらかというと僕らも危険じゃあ」
「そうかなー。威力はすごいと思うんだがなー」
「すごすぎると思う」
「だよな、どかーん、と一発!」
「………(そういえばテッドって実は派手なの好きだったよな…←遠い目)」












シーアとジーン
: 迷いと決意と矛盾
 溢れるのは葛藤と、それでも消えない想い

「私は、賛成できないわ」
 向けられた言葉に、シーアは静かに受け止めた。だれか一人はその言葉を聞くだろうと思っていた…けれど、彼女から貰うとは、少しだけ予想していなかった事に動揺を覚えながら、頷き一つで応える。
「貴方が今口にした事は、下手をすれば物事の秩序を壊す事にもなりかねないことは、判っているのでしょうね。
 …確かに、彼女はそれを為してしまったけれど、彼女はバランスを見る者。それなりの意味はあるのだと、思うわね。
 けれど貴方は違う」
 状態を屈めて、覗き込んでくる。
「貴方が行なうことは、必ず何処かに皺を作る。その皺寄せが己に返ってくることは判るだろうけれど…
 その重大さは、判っていないようね」
「…」
「魂を一から作るという工程がないとしても、…肉体を生み出しそれに魂を定着するというのは、並大抵のことではないの。様々な力を必要として、その力を吸い取った場所は、一時的に大きな穴をあけるわ。その場所は混沌となり、バランスよく治まっていた秩序を食い潰す、そんな予想ができる。
 …星の力で大部分を補うとしても、それ位の現象は起こっても不思議ではない。
 そしてその災いは、貴方に降りかかってくる可能性が高いでしょう。
 一人では問題ないかもしれない。けれど多分、それは貴方の周りにも降りかかるでしょう」
 翠の鮮やかな光を持つ瞳から、視線を反らす。
「この話を聞いて、貴方はならば自分が一人になれば良いと思うかもしれない。
 けれど、周りは了承しないでしょう。ポーラは然り、きっとレイさんも、他の貴方を知る方々も…
 特に貴方が呼び戻そうとしているあの子も。
 でも災いはそれでは消えない。今でも大変でしょうに、更にいろんなことが起こる。…大切な人たちが被害を受けて、貴方はまともに立っていられるの?」
 無意識に面持ちを俯かせる。まともに顔を見ていられなくて、視界に入り込んでくる何もかもがざわりと騒ぐようだ。目を閉じて、握り拳を作った。
 痛みを伴う沈黙が、静かに流れる。
「…貴方は本当に」
 小さな呟きと、髪に触れる柔らかな掌。
「不器用な子ね…。レイさんも、ランさんも。皆不器用だけれど、貴方は特にそう。
 そうやって言葉を無視できなくて、けれど思いを曲げることもできない。
 …貴方の想いは、変わらないのね?」
 暫しの躊躇、そしてゆるりと、是と頷く。

(2。もし話として昇格できたら、盛大に手を入れると思います…)












平和なひととき
: 洗濯日和な日に
 ざっぱざっぱざっぱざっぱ。
 実にリズミカルな音が響いている。が、テッドはあきれ返って眉を寄せることすらせずにその場に突っ立ってしまった。
 マクドール家の大きな庭、その奥でグレミオが洗濯物を干している、そしてその隣、井戸水のある近くで。
 ざっぱざっぱざっぱざっぱ。
「…なにしてんの?」
 呆気のまま聞いてみれば、実に充実感たっぷりです、といわんばかりの笑顔でシーアが顔を上げた。
「洗濯!」
 …多分それは!ではなくハートの方が正しかったのだろう。

「ああテッド君、いいところに」
 彼に気付いて振り返りにっこり笑ったグレミオに話し掛けられて、その時漸くテッドは顔を引き攣らせた。断る間もなくずるずると引き摺られ隣の桶で足を洗ってからどうぞよろしくとシーアの目の前で放置された。
 ちなみにシーアは現在、大きな桶の中で水と洗剤と布を入れたシーツを踏ん付けている。
「今日はやる事が多すぎてどうしても洗濯に手が回らなくて困っていたら、シーアさんが快く承知していただいたんです。
 なんで、テッド君もお願いしますね!」
「なんで!」
「なんでって、お友達一人仕事をやらせて自分は逃げるんですか」
「…レ」
「坊ちゃんは現在勉強中です」
「…………」
 うんざりといった面持ちで洗濯桶を見る。多分この洗濯だけではおさまらないのだろう、断言するが、この桶一杯程度ならグレミオ一人でさっさとやっておける。量の事を考えて更にうんざりした所に、シーアの苦笑が聞えてくる。
「テッドはこういうの好きじゃなかったよね」
「…必要に迫られた時にやればいいじゃないか」
「いいよ、この方法なら僕でも間に合うと思うから」
 テッドはのんびりしてたらいい、という言葉にテッドはシーアをじろりと睨み、彼は溜息を一つ零す。ぐしゃぐしゃに髪をかき回して、徐にズボンの裾を捲り上げた。ぞんざいに足を桶で洗ってから、大きいがある程度育った少年の体格では狭い桶に入り込む。
「テッド」
「俺は暇なのにお前が楽しんでるのがムカツクだけです」
 仏頂面で只管足を踏み始める、そんなテッドに、シーアは笑った。
「何だよ」
「いや、なんでもない」
「何」
「ええと、うん、いや」
「ほらほら、其処で喧嘩しないでくださいね」
 言いながらまた大量の洗濯物を抱えてきたグレミオにぎょっとしながら、テッドは桶から退いた。グレミオは桶の踏まれた洗濯物を別のものに入れ替え、井戸の傍に移動させる。桶にはまた洗濯物を入れて水を入れて洗剤を突っ込む、実に早く、且つ丁寧な作業だった。
「グレミオさんてすごいよね…」
 尊敬の眼差しを贈るシーアに、それを言うならお前も同類だと突っ込みたかったが、返す気力もなく曖昧に相槌を打った。再度洗濯を踏む作業が始まる。
「そういや、お前ポーラは?」
 ざっぱざっぱという水と泡の案外騒がしい音の中に訊ねてみる。
「別件で別行動、一日居ないんだ。僕は案外早く仕事が終って…でもまた新たにやるにもいいのがなくて。どうしようかなと思ってた」
「所にグレミオさんから家事の手伝い要請が来たと」
「うん、そう」
「…まあ習性ってのもあるだろうが、相変わらずだなお前も」
「綺麗にしてみたいなーって、思うんだ、どうしても」
「…潔癖って訳じゃないんだけどなー、お前」
 ざっぱざっぱ。
「なあ」
「うん?」
「これ、何時まで続くんだ」
「終るまで」
「…だよな…」
 ざっぱざっぱ。
「ちくしょー、レイがフリーだったら逃げ切ったのになー」
「全部グレミオさん任せっぱなし?」
「それが仕事だろ」
「でも、少しくらいはレイに教えてあげないと。
 …あれは、うん、教えれば何とかなると思うし」
「教える、っていう時点でもうなんかおかしいと思うが」
 ざっぱざっぱざっぱ。
「ん? グレミオさんは?」
「新しい洗濯物を取りにいったんじゃないかな」
「……マジか……」
 ざっぱざっぱざっぱ。
「…腹減りそう…」
「うん」
 ざっぱざっぱざっぱ。
「晩御飯、おごってくれるといいなあ」
「うん」
 ざっぱざっぱざっぱ。
「お前はどうするんだ?」
「うん」
 そこで、おやとテッドは顔を上げる。
「シーア?」
「うん」
「聞いてるか?」
「うん」
「判ってるか?」
「うん」
「判ってないだろ」
「うん」
 …………そういや自分もそうだが、こいつもひとつの物事に集中し始めると周りが見えなくなる性質だったか。
 しかし洗濯ひとつでここまで真剣に行なう彼の生真面目さには頭が下がる(単に本当に洗濯が楽しいだけかもしれないが)。とりあえず暇なので、こちらに戻すために声をかけてみる。
「シーア?」
「うん」
「シーアさん?」
「うん」
「生きてますかー?」
「うん」
 暫し、思案の後。
「俺の声聞えてますかー?」
「うん」
「俺のこと判ってますかー?」
「うん」
「俺の事好きですかー?」
「うん」
 その後、一瞬のタイムラグの後。
「は?」
 顔上げた時の表情があまりにも変だったのか、上げた途端にテッドが吹き出した。
「おまっおもっ…! はっ、ははははっ」
「ちょ…っだ、テッド! だっていきなりそんな変な事言われれば…ッ」
 顔を赤くして抗議すれば、更にテッドの笑点を突いたらしい、腹を抱えて笑い出した。
「おまっほんとに抗議…っ まっマジでおかし…っ」
 涙目になってきた頃だった、足に硬いものがぶつかって、バランスを崩した。あ、と声を上げても時既に遅し、で身体が傾き始めていた。
「ああ?」
「テッドッ」
 シーアが慌てて腕を伸ばし彼を掴むも、何せ彼の足場は水と洗剤と布。足を滑らせて、そのまま二人で転倒した。
 どさり、とふたつの音と、どっしゃんという水が散らばる音が響く。
「……」
「……」
 暫しの沈黙、じわりと、身体のあちこちが水に濡れた事を感じる。どうやら桶もひっくり返してしまったらしい、飛んできた洗濯物が身体の上に落ちていたりもした。
 自分が下になるはずの状態は、何故だか彼の腕が自分の身体の下にあった。そういえばこいつは昔から自分をよく庇っていたよな、と溜息を一つ漏らすと。
「…漏らしたいのは僕なんだけど。」
「あ?」
「洗濯物が…」
 呆然と呟く言葉に、テッドは呆れ返った。
「また洗いなおせばいいだろ」
「…グレミオさんに洗剤頼まなきゃ」
 そこで、彼の存在を思い出してがっくりとした。頼む前に間違いなく絶叫と説教が待ち構えているだろう。
 のろのろと身体を起してみれば、辺りに散らばった洗濯物が見える。また一からかと思うとうんざりしながら、こちらも身体をおこしかけていたシーアと眼が合う。
 二人で瞬き数回、そして同時に、笑いが溢れた。
「テッド…相変わらず、たまに抜けてる」
「うるさいっ、お前も相変わらずだっ」
 笑いながら言えば、更に煽られて、二人草の上に寝転がりながら笑う。
 グレミオの悲鳴が響くまで、二人の笑い声は途絶えなかった。

(1前。この前後付け足してその内古挿話小咄になる予定…いつか)












こけし
: 迷子
「……」
「……」
「なんだろうね、これ」
「木彫りの何かだろ」
「……」
「……」
「というか、どこだろうな、ここ」
「…また今度は何処に来ちゃったんだろうね…」

(別設定。時々別世界に彷徨わせてます…)