: 潰 片方の視界が一瞬紅に染まり、そして直に暗闇に包まれた。雷に撃たれたかの様に身体に痛みが走る。 たたらを踏んで背から崩れ落ちるのを防ぐ、見えなくなった片方の視界から、熱いものが流れ落ちていくのに無意識に剣を手放して押える。血液が流れる脈と共に痛みが体全体に、其処から広がっていた。 やばい。脳裏に危険信号が鳴り響く。 これは血だ、そしてそれは、片方の…左の眼から流れている。 潰された、しかも、利き目を。 動揺が心に満たされる、それを向うは見逃さなかった。緩めるどころか更に容赦がなくなる鋼の煌めきから身を捩りぎりぎりに避け間合いを保とうとするのだが、視界が半分に狭まっているのと傷の激痛で思考が鈍る。いつもならば出来る筈の行動を起こせず、焦りが生まれた。 いけないと心が血を吐きながら叫ぶ。ここで捕らえられたら終わりだと言うのに身体は言う事を利いてくれず。そして── しっかりと地についていた筈の足が崩れた、身体が傾くのを防ごうと動きを止めてしまい、 ぱすんと太股を深く斬られる。 「…ッ」 それが開始の合図の様に。 次々と襲って来る刃、けして致命傷を与えるものでない攻撃、いくつかは防いだけれど全ては到底無理な話で。それでもまだ生きている片目を潰される事だけはない様に必死に護っていた。 今度は右の足を突き刺され、痛みに耐えかねて膝の力が抜ける。地に落ちていくからだ、眼はそれでも敵に向けたまま。 右腕の関節を踏まれて地に押し付けられた。視界には刃を構える男の姿が見える。 駄目だ、 戦慄が走る。けれど身体はもう動かない。力を使う事も既に出来ない。 嫌だ、 今此処で捕らえられたら巻き添えにしてしまう人がいる。だからどうなっても逃げ切らなければ行けないのに。 刃が目の前で翳されている。 あの人の声が、自分を呼ぶ声が聞こえる。 恐怖が体中に広がっていく、 自分に向けられた刃が、 真直ぐに、 自分の右腕を切り落さんと、 落ちて、来る。 「──────ッ」 声にならない悲鳴を、上げた。 (別設定。 BGMは甲殻機動隊CD「be human」の「good by my master」) |
: 擬人化…やっちまいました… いろいろなソウルイーターの擬人化がありますが、私的には女の子、で、ちょっと幼い感じがいいなあ…というところ。継承者が好きで仕方なくて、その継承者が心を許した相手を、じゃあ一緒に行こう、って軽ーい感じで魂とっちゃうぐらいの幼さ。逆にそれが嫌われることなんだって事に気付かない。というかそうでもしないと自分は自分じゃないからって、感じで。 テッドはソウルイーターに関して、嫌いじゃないけどすごく憎い、大事なんだけどなくなればいいと思ってたりするんじゃないかなーって。前半。後半は私的設定で主人になってる予定(!?)なのでまあ、それなりに愛着が持てるようになったのかな。 坊ちゃんに会った時には既に主人で、ソウルイーターの力をある程度抑えられるぐらいになっているといいなあっていう妄想であります。 なーんて書いた板。 |
: 擬人化其の二 一つ前の続き。坊ちゃん(レイ)版。 坊ちゃんはどちらかというと見守っている所がある模様…外伝のあの言葉もあるし、親友から預かった紋章もあって。 こんなものが出て来た時にゃあうちのレイは人の心に聡いので、しょうがないなあな感じになってしまうやも…(おいおい どちらかというとレイの方がうまく付き合っていこうとするかもしれない。 |
: 擬人化其の三 魔導師のようなものを考えてたんだけど、これじゃ砂漠周辺の旅人だよ…いやイメージ的にはそれで合ってると思うけど(え) 私的罰の紋章のイメージ、というか、これはもう願望です…ね。しかめっ面のじいさんがいいと思います。ウォーロックのような、思いっきり頑固な。で、自分にも継承者にも厳しくしすぎて逃げていく(?)のがいつものこと。最期迄耐えた継承者だけに、「よくがんばった」と許しを与える…みたいな。はい、すいませんすごいねこれ(脱兎) ……もうなにもいわんでください |
: 止めぬ道筋 進め 歩け 立ち止まるな 痛みに甘えて立ち止まるな 立ち止まるくらいならば 死んでしまえ |
: 眼鏡 「眼鏡? テッド、眼悪かったっけ」 「近くのモノは見えにくいんだよ…ってお前寝てろっ。莫迦みたいに熱ある癖に起きるんじゃないッ(怒)」 (眼鏡が書きたかっただけらしい…(泡)) |
: 涙 幼い頃に何度かしか見た事がないもの かくりと膝の力が抜けてしまったのか、目の前で崩れ落ちる。慌てて大丈夫かと問いかければ大丈夫だと声がかえる。……震える、声。 名を呼べば、顔をあげる。それはきっと条件反射だ、彼は常に自分を最優先してくれた、呼べば、何処でも、声が聞こえれば駆け付けてくれる。それが彼の役割だったのだとしても、……嬉しかったのだと思う。 そう、勘違いを。 濡れた瞳から雫が一つ、頬に滑り落ちていくのを見た。幼い頃に何度か、けれど、それ以降全く見せなくなった彼の涙。自分達が押しつぶしてしまった人間としてあるべき感情表現。 戻っていた、場違いに安堵してしまう、自分と共に居たのでは、きっと彼は泣かぬままだっただろうから。 しかし彼はそれが涙と気付いた途端に顔を強張らせる、乱暴に頬に落ちた雫の跡を拭って、それでも止まらぬそれに震えた声でごめんと呟く。やっぱりそうだ、彼は自分の前では、感情を現す事が出来ない。 ふと昔の事を思い出した、幼い頃、あの時は自分の前で泣いていた。怯えていた彼を、どうやって宥めていた? ………どう、思っていた? 震える肩に手を置くと、ひくりと彼が震える。軽く触れた掌で叩く、けして叱る様にではなく、宥める様に。柔らかに頭を撫でると、必死に声を押し殺す音が聞こえて来る。肩を震わせて、それでも必死に。 兄になりたいと、思っていた。 幼い頃に抱いた感情、いつからそれは消えていたのだろうか、いつから、彼を"使う"様になっていたのか、既に覚えていないが彼はずっと付いて来てくれていた。 兄としてはないだろう、友としても。歪みきってしまった感情かも知れない、それでも彼は自分と共に居てくれる。 俯いて声を殺しながら泣く彼を見る。随分と雰囲気が変わった、感情を表に出す様になった所為か、凍り付いた所のあった雰囲気が柔らかくなっている。けれど顔つきは厳しくなった、身体も以前よりも細くなった印象がある。戦いの連続で引き締まったと言うべきなのだろうが、それよりも細くなったと言う方が前面に出て来るのだ。 苦労を感じる。それに耐えて来た、彼本来の精神も。 彼はもう、独りで立てる。元からそんな人間だったけれど、彼の安息の場としての仮初めの家族等もう必要無いのだ。 ならばとスノウは思う。 ならば自分は、許された自分は、彼のどの位置に立てば良いのだろうか。 (…私の中のスノウとシーアの関係) |